2021年5月23日「聖霊に満たされ」
2021年5月23日 花巻教会 主日礼拝・教会学校と合同
聖書箇所:使徒言行録2章1-11節
「聖霊に満たされ」
ペンテコステ(聖霊降臨日)
本日はご一緒にペンテコステ礼拝をおささげしています。ペンテコステは「聖霊降臨日」とも呼ばれます。イエス・キリストが復活して天に上げられた後、弟子たちの上に聖霊が降ったことを記念する日です。キリスト教において、クリスマス、イースターと共に重要な祭日とされています。
改めて、ペンテコステの場面がどのようなものであったか、振り返ってみたいと思います(使徒言行録2章1-11節)。
イエス・キリストが天に上げられてから10日が経ったその日、エルサレムに残った弟子たちはみな一つになって集まっていました。すると突然、激しい《風》が吹いてくるような音が天から聞こえ、家中に響きわたりました。そして《炎のような舌》が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまりました。この不思議な《炎のような舌》が、弟子たちのもとに聖霊が降ったことのしるしでした。
この場面を描いたエル・グレコの有名な絵をご一緒に見てみたいと思います(1605-1610年頃、プラド美術館所蔵)。スクリーンの画像をご覧ください。人々の頭の上に小さな炎のようなものが描かれていますね。これが《炎のような舌》です。
この10日前、主イエスが天に上げられる際、弟子たちに聖霊を送る約束をしてくださっていました(ルカによる福音書24章49節)。その約束通り、弟子たちのもとに聖霊が降ったのです。
聖霊に満たされた弟子たちは、聖霊が語らせるままに、さまざまな国の言葉で話し始めます。周りにいたユダヤの人々はこの物音にびっくりし、何事かと集まってきます。そうしてそこで自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまいました。
9-11節のところではさまざまな地名が挙げられていましたね。パルティア、メディア、エラム、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア……。これらは当時知られていた国々のリストであると言われています。すなわち、世界中の国の名がここで挙げられているのですね。祭りのために諸国からエルサレムに集まっていた人々は、そこで自分の故郷の言葉が話されているのを聞き、驚いたのでした。
聖霊が一人ひとりの上に
以上が、弟子たちのもとに聖霊がくだった、ペンテコステの出来事です。この場面から私たちはたくさんの、豊かなメッセージを汲み取ることができるでしょう。本日はその中で、聖霊が降ったしるしである《炎のような舌》が、その場にいた一人ひとりの上にとどまったところに注目してみたいと思います。3節《そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった》。
神さまは、弟子のリーダーであったペトロだけに聖霊がお遣わしになったのではありませんでした。その場にいた弟子たち全員に、ご自身の霊をお遣わしになったのです。
聖霊なる主は私たち一人ひとりの上に降って下さる――このことを本日はご一緒に大切に心に留めたいと思います。
カリスマ ~神さまからの贈り物
神さまは私たち一人ひとりに聖霊を送って下さる。そして、私たち一人ひとりに、大切な役割を与えて下さっていることを聖書は語っています(コリントの信徒への手紙一12章4-11節)。この神さまから与えられている能力や役割を私たちは「賜物(たまもの)」と呼んでいます。
「賜物」は、新約聖書の原文のギリシャ語では「カリスマ」という言葉です。カリスマは私たちの日常生活でも使われている言葉ですよね。人の心を惹きつける魅力をもつ人のことを「カリスマ」と呼んだり、たくさんの人に熱烈に支持されている人について「あの人にはカリスマ性がある」と言ったりします。そのような意味で浸透しているカリスマですが、もともとは聖書に出てくる言葉です。神さまが聖霊を通して私たちに与えてくださっている大切な贈り物、それがカリスマです。
存在からにじみ出てくる大切な役割
この神さまからの贈り物は、何か人の目を引くような才能や特技だけを指すものではありません。その人にしかできない、その人の存在からにじみ出てくるような大切な役割が、神さまが与えてくださっている賜物(カリスマ)であるのだと私は受け止めています。
ですので、それは周りの人にすぐに気づかれないような目立たないものであることもあるかもしれません。本人も気づいていないこともあるかもしれません。けれどもその賜物は、神さまの目からすると、その場になくてはならないものです。
何か抜きんでた才能とか特技だけが、カリスマなのではありません。その人にしかできない、存在からにじみ出てくる役割こそが賜物なのであり、そしてそれは私たち一人ひとりに確かに与えられています。神さまの目から見ると、私たち一人ひとりが、素晴らしい「カリスマをもった存在」なのです。
神さまの目から見て、必要のない人はこの世界には存在しません。一人ひとりに大切な役割が与えられているのだと信じています。
互いを大切な賜物をもつ存在として受け止め、その賜物を活かし、支え合いながら生きてゆくよう、私たちは神さまから招かれています。
困難の中、賜物を活かし、互に支え合いながら
私たちはこの1年数か月、新型コロナウイルス感染拡大の困難に直面し続けています。この度、新たに沖縄県にも緊急事態宣言が発令されました。期間は本日から6月20日まで。これで計10都道府県に緊急事態宣言が発令されることになりました。9都道府県は一応今月31日までが期限ですが、東京や大阪などの延長は避けられないとの見方もあります。
感染した方々の上に主のいやしがありますように、回復後もその心と体と魂が守られてゆきますように祈ります。感染した方のご家族や関係者、医療に従事している方々の上に主の助けがありますように、またコロナの影響により、いま大きな困難を覚えている人々の上に主のお支えがありますように。少しでも感染状況が収束へと向かってゆきますように切に願うものです。そしてこのような困難の中、互いに支え合ってゆくことの大切さを改めて私たちの心に刻みたいと思います。
神さまはいま、私たち一人ひとりに聖霊をお送りくださり、それぞれに大切な役割、賜物を与えて下さっています。そうして私たちが独りで生きるのではなく、賜物を活かし、互いに支え合って生きることができるよう導いて下さっています。
聖霊の導きがあることを信じ、互いに支え合い補い合いながら、これから始まる聖霊降臨節の中を共に歩んでゆきたいと願います。